1. 所得税・物価上昇局面における基礎控除等の対応
(1) 基礎控除の本則部分については、見直し前の控除額に直近2年間の消費者物価指数
(総合)の上昇率を乗ずることで調整する。令和5年10月から令和7年10月までの2年間の上昇率6.0%を踏まえ、本則部分は58万円を62万円にする。
見直し初年は、月次の源泉徴収等では対応せずに、年末調整からの対応とする。
【令和8年、9年の基礎控除】
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給与収入のみ |
合計所得金額 |
令和7年度改正 |
令和8年度改正 |
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本則 |
特例 |
結果 |
本則 |
特例 |
結果 |
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200万円以下 |
132万円以下 |
58 |
37 |
95 |
62 |
42 |
104 |
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200万円超475万円以下 |
132万円超336万円以下 |
30 |
88 |
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475万円超665万円以下 |
336万円超489万円以下 |
10 |
68 |
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665万円超850万円以下 |
489万円超655万円以下 |
5 |
63 |
5 |
67 |
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(以下 省略) |
655万円超2,350万円以下 |
- |
58 |
- |
62 |
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2,350万円超2,400万円以下 |
48 |
48 |
48 |
48 |
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2,400万円超2,450万円以下 |
32 |
32 |
32 |
32 |
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2,450万円超2,500万円以下 |
16 |
16 |
16 |
16 |
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2,500万円超 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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(2) 給与所得控除額については、物価上昇による調整で、65万円の最低保障額を69万円に引き上げる(令和8年分から)。
令和8年及び令和9年における給与所得控除の最低保障額を5万円引き上げる特例を創設する。これにより、最低保障額は74万円となる。
(3) 給与所得控除額の最低保障額74万円と基礎控除額の最高額104万円とで、課税最低限は178万円となる。
2. 所得税・合計所得金額要件の見直し(4万円の引き上げ 令和8年分以後適用)
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件 58万円以下→62万円以下
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額要件 58万円以下→62万円以下
勤労学生の合計所得金額要件 85万円以下→89万円以下
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例 最低保障額65万円→69万円
3. 所得税・ひとり親控除の控除額の見直し(令和9年分以後適用)
控除額 35万円 → 38万円
個人住民税は控除額30万円 → 33万円(令和10年分住民税から適用)
4. 所得税 住宅ローン減税の延長・拡充
適用期限を令和12年12月31日まで5年延長するとともに、令和8年から令和12年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率及び控除期間を次のとおりとする。
なお、特例対象個人(年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者)の場合は、借入限度額は1,000万円上乗せされ、( )書きの金額となる。
(1) 認定住宅等の新築等の場合
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住宅の区分 |
居住年 |
借入限度額 |
控除率 |
控除期間 |
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認定住宅 |
令和8年~ 令和12年 |
4,500万円 (5,000万円) |
0.7% |
13年 |
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ZEH水準省エネ住宅 |
3,500万円 (4,500万円) |
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省エネ基準適合住宅 |
令和8・9年 |
2,000万円 (3,000万円) |
(2) 認定住宅等である既存住宅の取得の場合
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住宅の区分 |
居住年 |
借入限度額 |
控除率 |
控除期間 |
|
認定住宅 |
令和8年~ 令和12年 |
3,500万円 (4,500万円) |
0.7% |
13年 |
|
ZEH水準省エネ住宅 |
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省エネ基準適合住宅 |
2,000万円 (3,000万円) |
(3)(1)及び(2)以外の取得等の場合
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居住年 |
借入限度額 |
控除率 |
控除期間 |
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令和8年~令和12年 |
2,000万円 |
0.7% |
10年 |
5. 所得税・NISAのつみたて投資枠の拡充
つみたて投資枠の対象年齢を0歳まで拡充する。
口座保有者である子が0~17歳の間については、年間投資枠は60万円、非課税限度額は600万円とする。
子の年齢が12歳以降、子の同意を得た場合のみ、親権者等による払い出しを可能とする。
子の年齢が18歳に達した際、年間投資額等について、18歳以上向けの制度に移行する。
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つみたて投資枠 |
成長投資枠 |
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対象年齢 |
0~17歳 |
18歳以上 |
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年間投資枠 |
60万円 |
120万円 |
240万円 |
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非課税保有限度額 |
600万円 |
(自動的に移行)1,800万円(内成長枠1,200万円) |
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投資対象商品 |
積立・分散投資に適した一定の公募等株式 投資信託 |
上場株式・公募等 株式投資信託等 |
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投資方法・運用管理 |
契約に基づき定期かつ継続的な方法で投資 |
制限なし |
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6. 所得税・極めて高い所得の負担のあり方 令和9年分以後適用
【現行制度】 ②が①を上回る場合に限り、差額分を申告納税
① 通常の所得税額
②(合計所得金額-特別控除額(3.3億円))×22.5%
【改正後】 ②が①を上回る場合に限り、差額分を申告納税
① 通常の所得税額
②(合計所得金額-特別控除額(1.65億円))×30%
7. 記帳水準の向上等に向けた青色申告特別控除の見直し 令和9年分以後適用
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条 件 |
控除額 |
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複式簿記+電子申告+①又は②のいずれか |
75万円 |
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① 優良な電子帳簿(仕訳帳及び総勘定元帳について 訂正削除履歴の記録) |
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② 請求書データ等との自動連携 |
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複式簿記+電子申告 |
65万円 |
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複式簿記(書面申告) |
10万円 |
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簡易簿記(対象を限定する※) |
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※事業所得もしくは不動産所得に係る前々年の収入が1,000万円以下の納税者、
または事業としての規模に満たない不動産所得者若しくは山林所得者が適用可。
8. 公的制度の基準額の見直し
(1)所得税・マイカー通勤に係る通勤手当の非課税限度額
片道65㎞以上の距離の上限を引き上げて区分を新設、非課税限度額の引上げ
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現 行 |
改正案 |
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通勤距離の区分 |
非課税限度額 |
通勤距離の区分 |
非課税限度額 |
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片道2㎞以上10㎞未満 |
4,200円 |
片道2㎞以上10㎞未満 |
4,200円 |
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片道10㎞以上15㎞未満 |
7,300円 |
片道10㎞以上15㎞未満 |
7,300円 |
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片道15㎞以上25㎞未満 |
13,500円 |
片道15㎞以上25㎞未満 |
13,500円 |
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片道25㎞以上35㎞未満 |
19,700円 |
片道25㎞以上35㎞未満 |
19,700円 |
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片道35㎞以上45㎞未満 |
25,900円 |
片道35㎞以上45㎞未満 |
25,900円 |
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片道45㎞以上55㎞未満 |
32,300円 |
片道45㎞以上55㎞未満 |
32,300円 |
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片道55㎞以上 |
38,700円 |
片道55㎞以上65㎞未満 |
38,700円 |
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片道65㎞以上75㎞未満 |
45,700円 |
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片道75㎞以上85㎞未満 |
52,700円 |
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片道85㎞以上95㎞未満 |
59,600円 |
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片道95㎞以上 |
66,400円 |
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駐車場等の利用に対する手当の非課税化(月額5,000円を上限)
(2)所得税・食事支給に係る非課税限度額
従業員が食事の価額の半額以上を負担した場合の使用者の負担額の上限
月額3,500円 → 月額7,500円
深夜勤務に伴う夜食代に係る非課税限度額 1回300円以下 → 650円以下
(3) 固定資産税・免税点の見直し
土地 30万円、家屋20万円、償却資産150万円
→ 土地 30万円、家屋30万円、償却資産180万円
(4)ふるさと納税の個人住民税の特例控除額の上限設定 令和10年度住民税から適用
定額上限を193万円(現行:個人住民税所得割額の2割)とする。
(給与収入 1億円相当)
9. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
期限延長せずに令和8年3月31日をもって終了。
10.法人版・事業承継税制
特例承継計画の提出期限を1年6ヶ月延長(令和9年9月30日まで)
相続及び贈与の期限の令和9年12月31日についての見直しはなし。
11. 相続税等・貸付用不動産の評価の適正化 令和9年1月1日以後の相続等から
被相続人が課税時期前5年以内に有償で取得又は新築をした一定の貸付用不動産については、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価する。
(被相続人が5年前から所有している土地上に新築したものは、対象外)
小口化された貸付用不動産については、その取得時期にかかわらず、通常の取引価額に相当する金額で評価する。
12.法人税・所得税 少額減価償却資産の取得価額の引き上げ
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入 30万円未満 → 40万円未満
中小企業投資促進税制の工具の取得要件を1台40万円以上、合計120万円以上に変更
中小企業経営強化税制等の工具及び器具備品の取得価額要件を40万円以上に変更
13.法人税・特定生産性向上設備投資促進税制の創設
業種を問わない。即時償却か税額控除の選択。
建物、建物付属設備、構築物も対象となる。
設備投資計画に記載された生産性向上設備等の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者は5億円以上)であること。
14.法人税・所得税 賃上げ促進税制の見直し
大企業向けの措置は適用期限を待たずに廃止する。
中堅企業向けの措置は、令和9年3月31日をもって廃止する。
中小企業向けの措置は、現行制度を維持するが、教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止する。
15.消費税・インボイス制度に係る経過措置の見直し
(1)2割特例
その納税額を売上税額の3割とすることができる経過措置を2年(令和9、10年)に限り講ずる。
2割(3割)特例等の適用を受けた課税期間の翌課税期間から簡易課税制度に移行する場合には、確定申告期限までに手続きすればよい。
(2)免税事業者からの課税仕入れ
令和8年10月1日から令和10年9月30日まで 70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日まで 50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日まで 30%
免税事業者からの仕入れがある場合は、締め日で控除割合が変わるので注意が必要。
1免税事業者ごとの仕入れに係る年間適用上限額を10億円から1億円に引き下げる。
16.所得税・防衛特別所得税
令和9年以後、当分の間、その年分の基準所得税額に1%の税率を乗じて計算する。
復興特別所得税の税率を2.1%から1.1%に引き下げ、課税期間を令和29年までとする。